秋津壽男“どっち?”の健康学「梅雨の時期に痛みが増す関節リウマチ。関節の変形など厄介な症状と向き合うには」


秋津壽男“どっち?”の健康学「梅雨の時期に痛みが増す関節リウマチ。関節の変形など厄介な症状と向き合うには」

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 新緑を過ぎるとやってくる梅雨の時期。夏の暑さを感じ始め、同時に雨が多くなるこの時期は、1年で最もうっとうしい季節です。倦怠感、食欲不振、ぜんそく、水虫やアトピーなどの皮膚病などに悩まされる人も少なくないでしょう。

 中でも関節リウマチは梅雨入りすると痛みを訴える人が増えます。関節リウマチで怖いのは上半身と下半身のどちらでしょうか。

 いちおう、説明しておきますと、関節リウマチは関節が炎症を起こし、軟骨や骨など関節の機能が損なわれる疾患です。放っておくと関節が変形してしまうばかりか、腫れや痛みが強く出るために関節の病気の中でも特にやっかいとされています。ふだんは体の外から侵入するばい菌から自分の身を守る免疫が、間違って自分自身の関節を攻撃するのが関節リウマチのシステムであり、医学的には「自己免疫疾患」と呼んでいます。

 一般的に、関節の痛みは気圧に左右されるため、梅雨の時期になると症状が深刻化するのです。その理屈は、関節が骨と骨のつなぎ目を覆う役割をしていますが、この袋が気圧の低下とともに膨らむことで痛みを感じるわけです。

 富士山頂に袋のポテトチップを持ち込むと、パンパンに膨らみます。これは山頂=空気の薄い場所に上ったことで起こる現象ですが、この原理と同じで、人間の関節も低気圧の影響により膨れて痛みが生じます。ひどい場合には低気圧が近づく以前に痛みを覚えることもあり、九州に台風が上陸しただけで、東京の患者の関節が痛みだすことも珍しいことではありません。

 しかも関節リウマチは放っておくと骨が壊れたり変形して動かなくなります。最悪の場合には、歩けなくなることすらあるのです。二足歩行する動物である人間は歩行困難になると急激に体が衰弱します。そう考えると、上半身よりも下半身の関節リウマチのほうがより怖い病気と言えます。

 関節リウマチの症状は、目覚めた直後に出やすい傾向にあります。初期症状は「起きると手足のこわばりが30分以上続く」のが一般的で、手がこわばる場合、パジャマのボタンが外しにくくなったり、テレビのリモコンが押しにくくなります。この「こわばり時間」が長いほど、関節リウマチがすでに関節を破壊している可能性が高くなります。

 関節が破壊されると、骨の間のクッションがなく、骨が直接ぶつかる状態となります。こうなると、痛み自体は治まる代わりに関節が動かなくなるため、手足が思うように使えなくなるのです。

 またリウマチは関節の痛み以外にもさまざまな症状が発症します。微熱や全身の倦怠感、貧血などのほか、症状が進むと血管炎(血管の壁の内側に起こる炎症)を起こし、お湯や水の温度がわからなくなったり、手足の指が“えそ”します。さらに、痛みや腫れのある関節の近くの骨がもろくなる骨粗鬆症にもなる可能性があります。

 関節リウマチの治療の基本は【1】進行を抑える【2】痛みを取る【3】機能障害の回復の3つがあげられます。炎症の痛みなど、痛みの種類に合わせて薬物療法、基礎療法、手術療法、リハビリを組み合わせた治療が行われます。手足のこわばりを感じたら早めに医者に診てもらうのが肝心です。日常生活でも「ストレスをためない」「適度な運動と安静」「関節に負担をかけない動作」などのケアをしてください。

 関節が痛むとさまざまなことができなくなり、しだいに気分も落ち込んでしまいますが、まずは「できること」に目を向けましょう。ストレスは万病のもとであり、少しでもポジティブになることがあらゆる病気の予防につながります。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。


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